新生児の健康

乳幼児が嘔吐したときの対処法

投稿者 Yuki Oyama. 更新された: 16 1月 2017
乳幼児が嘔吐したときの対処法

はじめに

赤ちゃんの時はまだ体が出来ておらず、ミルクを飲んだ後、吐き戻すことがしばしばあります。

嘔吐した時、病気じゃないのかなと思いがちですが、そうでない場合も多々あります。ゆっくりと落ち着いて対処しましょう。

目次

  1. 嘔吐の原因
  2. ・胃腸炎、嘔吐下痢症
  3. ・幽門狭窄症などの胃腸の通過障害
  4. ・腸重積
  5. 髄膜炎
  6. ・ 脳炎
  7. 対処法
  8. 最後に

嘔吐の原因

ミルクや離乳食を食べたあとに吐いてしまうことがあります。赤ちゃんはまだ内蔵の器官も大人のように完成しておりません。胃の周りの筋肉も発達しておらず、逆流しやすくなっています。大人になると胃はJの形になりますが、赤ちゃんの時はまだはっきりJの形にはなっておらず、逆流を防ぐ機能が完全ではありません。

ただ、必ずしも安心という訳ではありませんので、原因をいくつか挙げてみます。

原因として考えられるのは、

①お腹がいっぱいで吐く

②病気(風邪、ウイルスなどの胃腸炎、腸重積、幽門狭窄症、髄膜炎、脳炎etc.)

①食事の後に、ゲップをしたと同時に吐いたりすることがあります。

ミルクの飲み過ぎでちょっと吐き戻すこともあります。

しかし、吐き出した後はすっきりして、笑顔だったり、機嫌がよかったりする時はたいていの場合問題ありません。

②病気の場合はピューと噴水のように勢い良く吐き出す、嘔吐物が黄色、黄緑色などの食事やミルクと違う嘔吐物で、その後も泣き続け、いつもと様子が違う場合は要注意です。

・胃腸炎、嘔吐下痢症

子どもの吐く原因で最も多いのは、下痢を伴う病気の場合です。感染性胃腸炎がそれにあたりますが、胃に炎症が起き、その結果吐きます。腸に炎症が及べば、下痢という症状になります。

この病気には、細菌性とウイルス性があります。ウイルス性の場合には軽ければ「おなかの風邪」として扱われることが多いようです。

ウイルス性でよく知られているのが「ロタウイルス」です。乳児に多いことから乳幼児嘔吐下痢症、冬に多いことから冬期下痢症、便が白くなるので白色便下痢症とも言われています。下痢と嘔吐が強いときには脱水症になり、入院することもあります。集団生活では感染力が強いので、流行する場合もあります。 ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、ロタウイルスによるものより症状は軽いようですが、時々集団生活で流行します。

細菌性の胃腸炎は腹痛があり、熱があることが多いようです。そして「下痢便がねっとりして血液が混じっていること」もあります。

胃腸炎以外の感染症でも吐くことはあります、頭の嘔吐中枢を刺激するからでしょう。その原因として風邪の始まりや、中耳炎、尿路感染症等があります。熱の出始めもこの中に入ります。 (出典先:日本医師会白クマ先生の子ども診療所)

・幽門狭窄症などの胃腸の通過障害

肥厚性幽門狭窄症とは生後2-3週から3ヶ月位までの赤ちゃんがミルクを吐く病気です。筋肥厚性幽門狭窄症とも呼ばれています。

胃の出口 にある幽門筋が肥厚するために胃の出口が狭くなり、飲んだミルクが十二指腸に運ばれず胃内に停滞します。ミルクで胃が一杯になると飲んだミルクを噴水状に大量に吐きますが、吐いた後でも赤ちゃんは空腹感のためにさらにミルクを欲しがります。幽門筋がなぜ肥厚するのかは正確にはわかっておりません。この病気は初めてのお子さんで、しかも男の子に多くみられますが、女の子や第2子以降のお子さんにも無いわけではありません。これまで親子にみられたケースや双胎(双子ちゃん)の双方にみられたケースも報告されています。(出典先:日本小児外科学会)

・腸重積




腸の中に腸が入り込んで腸閉塞を起こした状態です。吐いたり、便が血で赤くなっていればすぐ病院に連れて行きましょう。しかし、その前兆として「子どもの様子がなんとなくおかしい」という状態が見てとれるはずです。

基本は周期的な痛みです。急に痛みが来て泣き、少し痛みが遠ざかるとケロっとします。少し経過すると、また同じように痛みが来て泣きます。

この病気はできるだけ早く診断しないと、おなかを切る手術になることがあるので、早い対応が必要です。 (出典先:日本医師会白クマ先生の子ども診療所)

髄膜炎

脳を覆っている軟膜、クモ膜、硬膜の総称を髄膜と呼びます。この軟膜、クモ膜、クモ膜と硬膜の間のクモ膜下腔に炎症がある状態が「髄膜炎」です。髄膜炎は原因によっていくつかに分類されますが、細菌が原因である化膿性髄膜炎と、主にウイルスが原因である無菌性髄膜炎が子どもに多く見られます。

一般的な症状は熱、頭痛、吐き気、嘔吐等があり、場合によっては「けいれん」「意識障害」が認められます。これらの症状により髄膜炎を疑ったときには、背骨に針を刺して髄液検査を行います。

正常の髄液は透明ですが、化膿性髄膜炎では「濁って」います。重症の場合は「どろっとした膿」として出てきます。顕微鏡で髄液を見ると白血球が多く見られ、化膿性の場合は細菌が動いているのが見えます。

化膿性髄膜炎と判断されたときは抗生物質を使いますが、できるだけ早く治療を開始することが重要です。治療が遅れると死亡したり、脳に後遺症が残ることがあるからです。

無菌性髄膜炎は化膿性と違ってやや軽いのですが、炎症が強いと脳がはれ、脳細胞を傷害して後遺症を残すこともあります。無菌性髄膜炎の原因ウイルスはムンプスウイルスとエンテロウイルスが有名です。(出典先:日本医師会白クマ先生の子ども診療所)

・ 脳炎

脳実質に炎症がある状態を「脳炎」と言いますが、その原因のほとんどがウイルスです。

無菌性髄膜炎は炎症が脳まで及ぶと髄膜脳炎と言います。脳に炎症があると脳がむくみ、頭蓋骨に覆われた脳がその圧で圧迫され脳細胞がやられるのです。脳圧が高くなると頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害が表れます。

意識障害になれば、医師であればだれでも疑いますが、脳炎の始まりは非常に判断が難しく医師でも判断を迷います。少し顔色が悪い、あくびをよくする、不可解なことを言う、不可解な行動をする・・・等が、見られたら、医師に相談してみましょう。

脳炎では直接ウイルスを退治できないため、脳圧を下げる治療をして自然に治るのを待ちます。原因ウイルスは多くあり、ウイルスによって重症度に違いがあります。 日本脳炎は重い脳炎ですが、現在はほとんどみられません。麻疹、風疹でも脳炎を合併することがありますが、それ自体の感染症が少なくなっております。

注意しなければいけない脳炎は、夏風邪ウイルスのエンテロウイルスや突発性発疹の原因であるヘルペスウイルス属です。水痘(水ぼうそう)もヘルペスウイルス属なので、注意が必要です。

脳炎は非常に怖い病気です。早期の治療と原因ウイルスにより経過が重症になるかどうかが決まります。(出典先:日本医師会白クマ先生の子ども診療所)

対処法

一気にミルクなどを飲んだ場合は吐き戻すことも多いので、数回に分けて飲ませてあげて、飲み終わった後しばらくは上体を起こし抱っこしてあげるといいでしょう。

吐いてしまった時は、まずのどを詰まらせないように横にまたは、下に向かせてあげましょう。後は口の周りをきれいに拭いてあげてください。

病気の場合などは、赤ちゃんの様子がおかしいと思うはずです。まずは病院に連絡しましょう。

たくさん吐いた場合は脱水症状にならないようにスプーンで1杯ずつ飲ませてあげましょう。

この時、吸収しやすい薄めの番茶、白湯、薄めたミルク、子供用のイオン飲料、薄めた大人用のイオン飲料などが良いでしょう。

そして落ち着いてから病院に連れて行きましょう。

髄膜炎や脳炎などかなり危険な可能性もありますので、早急に対応しましょう。

最後に

赤ちゃんが嘔吐した場合チェックする事は、元気そうかどうか、いつもと違うかどうかここがポイントになります。冷静に赤ちゃんを見て判断しましょう。

嘔吐した後にケロッとしている場合は大抵問題ないですが、泣き続けたり、体温が高かったり、ぐったりしているなどいつもと違うと感じたらすぐに病院へ行きましょう。

この記事に含まれる情報は参照の目的だけに提供され、医師あるいは他の有資格の専門家によるアドバイスの代用にはなりません。医師に相談することをお勧めします。

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