乳幼児の風邪と咳

乳幼児の咳の原因と対処法

 
Rina H.
投稿者 Rina H.. 更新された: 16 1月 2017
乳幼児の咳の原因と対処法

この記事をご覧の皆さんの中には、お子さんのいらっしゃる方々もおられる事でしょう。

「子どもの咳がなかなか止まらない……」

このようなお悩みを持つ親御さんはいらっしゃいませんか?

今回は、乳幼児の咳の原因およびその対処法について紹介していこうと思います。

画像:ord.yahoo.co.jp

目次

  1. <「咳」とは?>
  2. <子どもの咳の原因>
  3. <風邪>
  4. <クループ感染症>
  5. <急性気管支炎>
  6. <肺炎>
  7. <百日咳>
  8. <安易な咳止めはご注意を!>

<「咳」とは?>

はじめに。

そもそも「咳」っていったい何なのでしょうか?

咳は、埃・ウイルス・煙・飲食物などの異物から、肺や気管、気管支を守るために行われる、生体の防御反応の1つです。

また、咳には気道に蓄積されている痰を出すための役割もあります。

「防御反応」という事ですから、安易な咳止めの使用は、子どもの体調を逆に悪化させる事にもなりますので注意して下さい。

痰を伴わない「コン、コン」という乾いた咳を「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」

痰や喀血を伴う「ゴホッ、ゴホッ」という湿った咳を「湿性咳嗽(しっせいがいそう)」

と医学用語では言います。

乾性咳嗽は「喉や気道に対する刺激などが原因」で起こる事が多く、湿性咳嗽は「気管や気管支の炎症などが原因」で起こる事が多いです。

また、まれに「ケン、ケン」「キャン、キャン」のような、犬が吠えるような「犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)」という咳もあります。これは、呼吸困難にもつながる重篤な病気の症状である場合がありますので注意が必要です。

さらには、咳の続く期間も重要です。医学的には、

3週間未満で完治する咳(急性)

3~8週間継続する咳(遷延性)

8週間以上継続する咳(慢性)

として区別しています。

咳の様子・咳の継続期間を知る事は、背後に潜む病気を見つける重要な手がかりとなります。

<子どもの咳の原因>

咳の背後には、原因となるさまざまな病気が潜んでいます。子どもの揚合、よくみられるのが、

・普通感冒(風邪)

・クループ感染症

・急性気管支炎

・肺炎

・百日咳

などです。

これらの代表的な疾患について、1つ1つ対処法を紹介していこうと思います。

<風邪>

まずは皆さんもよくご存知の「風邪」です。

風邪は約90%がウイルス、まれに、細菌が原因で起こる事もあります。

風邪とはいえ、咳が長引くと心配ですね。

ご存知の方も多いと思いますが、現在、風邪の特効薬はありません。対症療法のみです。

ですから、風邪薬をきちんと飲んで、室温を20~22℃、湿度は50~60%の快適な状態にして安静にしてあげて下さい。

風邪の時の食事については、あまり栄養にとらわれず子どもの欲しがるものを与えましょう。基本的なカロリーと水分さえ取れていれば心配ありませんが、脱水症状にだけは気をつけて下さい。水分は食事の時間以外にもこまめに与えるようにしましょう。

<クループ感染症>

なにやら聞き慣れない名前の病気ですね……。

クループ感染症とは、

“声帯周辺や喉の周辺が、ウイルスや細菌に感染して炎症を起こす病気”

です。

原因として最も多いのは、「パラインフルエンザウイルス」で、クループ症候群の原因の約75%といわれています。

その他の原因としては、アデノウイルス、RSウイルスなどの「ウイルス」、インフルエンザ菌、溶連菌などの「細菌」が挙げられます。

この病気の最も特徴的な症状が、先程紹介しました、

“「犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)」という咳”

です。

犬がほえるような「ケン、ケン」「キャン、キャン」という咳とともに、38~40℃の高熱が出るようであれば、クループ感染症を疑って下さい。

クループ症候群にかかるのは3ヶ月~5歳のお子さんがほとんどで、まさに乳幼児の病気です。(生後2年以内のお子さんが最も多くなります。)

対処法ですが、咳を抑えるために、家では加湿する事が必要です。また、お子さんが寝る時は背中にクッションを置いて上半身を高くし、呼吸を楽にしてあげます。とにかく安静が大切です。

軽症の場合は、1週間程度で治ります。

医療機関を受診した際には症状によって、喉の腫れを取る薬を吸入することや、ステロイドの内服や注射を行います。

<急性気管支炎>

急性気管支炎は、鼻水、発熱と共に、湿性咳嗽(痰のからんだ咳)を伴う呼吸器疾患です。気管や気管支を中心に炎症が起こる病気で、子どもから大人まで、代表的な呼吸器感染症の1つです。特に、小さい子どもは気管支が細いことから、喘鳴(ぜんめい)(息を吐く時に生じる、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音の事です)を伴う事も多くなります。

原因の多くはウイルスによるもので、ウイルス感染後、二次感染として細菌感染が見られます。

特別な治療法はなく、加湿や水分補給で乾燥を防ぎ、自然治癒を待ちます。血液検査で細菌感染の疑いが見られる場合には、抗生物質の投与を行います。

<肺炎>

ウイルスや細菌が喉から気管を通って肺まで入り込み、肺で炎症を起こした病気が肺炎です。肺炎には大きく分けて、最も症状の重い「細菌性肺炎」と、比較的症状の軽い「ウイルス性肺炎」「マイコプラズマ肺炎」、以上3種類が見られます。(症状の重い細菌性肺炎に対しても、現在は抗生物質がありますので、命に関わるような事はほとんどありません。)

細菌性肺炎の症状として、40度前後の高熱や激しい咳が続き、悪寒や呼吸困難、食欲不振などの症状が出ます。咳は黄色や緑色を帯びた痰を伴う湿った咳が出ます。

ウイルス性肺炎は現在、子供の肺炎の半分以上を占めています。症状は細菌性肺炎より軽く、風邪に近い症状が出て、比較的短期間で治ります。

マイコプラズマ肺炎は、いかにも恐ろしそうな病名ですが、症状自体は細菌性肺炎より軽いものがほとんどです。喉の痛み・鼻水・鼻づまり・37~39℃の発熱・痰のからむ咳などの症状が出ます。また、喘息を患っている場合は、やや呼吸困難気味になる事もあります。咳は長引くことが多く、最初は軽いですがだんだんと酷くなっていき、1ヶ月近く続く事があります。

治療は抗生物質の投与によって行います。

<百日咳>

百日咳の咳は、一度聴けば分かるたいへん特徴的な咳です。その特徴ですが、まず、短い間隔で咳が連続的に出ます。「エホ、エホ、コン、コン」という咳です。これを「スタッカート」と言います。続いて、急に息を吸い込んで、「ヒュー」という笛の音のような呼吸音が聞こえます。これを「フーピング」と言います。このフーピングこそが、百日咳の一番の特徴です。

喘息では息を吐く時に「ヒュー」という呼吸音が聞こえますが、百日咳では息を吸い込みながら「ヒュー」という呼吸音が聞こえます。

百日咳は、「百日咳菌」という細菌に感染して発症する、呼吸器感染症です。

治療は抗生物質の投与を行います。百日咳に特有の咳に対しては対処療法を行います。鎮咳去痰剤、気管支拡張剤などが使われます。

重症化した場合にはγ(ガンマ)グロブリンの投与も行われます。

<安易な咳止めはご注意を!>

先程も申しましたように、「咳」という症状は、体にとって重要な防御反応ですから、安易に止めてよいものとは限りません。

それでは、どのような咳ならば止めても大丈夫で、どのような咳ならいけないのでしょうか?

それは、先程申しました、「乾性咳嗽」「湿性咳嗽」の違いにあります。

乾いた咳(乾性咳嗽)ならば咳止めを使って止めても大丈夫で、

痰などの混じった湿った咳(湿性咳嗽)ならば、咳を止めない方がいいです。

これにはきちんとした理由があります。

百日咳などの「乾性咳嗽」は、

“中枢神経が刺激される事によって出る咳”

であり、単純に体に負担がかかるだけですから、止めてあげた方がお子さんは楽になるのです。

一方、風邪や感染症などの「湿性咳嗽」は、

“異物に痰を絡ませ、咳によって体外に排出しようとする咳”

“喉や気管支などに炎症が生じ、そこから出る分泌物を体外に排出しようとする咳”

ですから、下手に止めてしまいますと、異物や分泌物が体内に残ったままになってしまい、体調が悪化してしまい、かえって苦しくなってしまいます。

なるべく加湿・加温・水分補給で体調を整えるようにして下さい。

以上のように、お子さんに市販の咳止め薬を飲ませようと思った時は、お子さんの咳の状態をよく見てあげて、咳の様子に応じた対処をしてあげて下さい。

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乳幼児の咳の原因と対処法 - <安易な咳止めはご注意を!>

この記事に含まれる情報は参照の目的だけに提供され、医師あるいは他の有資格の専門家によるアドバイスの代用にはなりません。医師に相談することをお勧めします。

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